Celtic Words ケルトのことば

Language 言語
古代ケルト語である”大陸ケルト語=ガリア語、ケルトイベリア語など(B.C.500〜A.D.500以後消滅)”は総称してゴール(ガリア)語と呼ばれる。それに対して近代のケルト語は、”島嶼ケルト語”から派生したもので、全て「インド=ヨーロッパ語」に属し、2種類に大別されている。
1つは、アイルランドの古語であるゴイデル語(Goidelic/ゴイデリック)から派生した「ゲーリック、Qケルト語」系で、アイルランド・ゲール語(Gaelic)、スコットランド・ゲール語(Scottish Gaelic)、マン島語(Maux/1974年消滅)など。
もう1つは、ウェールズのブリトン語(Brythonic/ブリソニック)から派生した「ブリティッシュ、Pケルト語」系で、ウェールズ語、コーンウォール語(18C末に消滅)、アルモリカ・ブルトン語、派生語としてのコーンウォール語など。

現在、スコットランドでは、「スコットランド語(Scots)」と「英語(English)」が併用されているが、これらは同じインド・ヨーロッパ語に属すが、ケルト語系とは別のチュートン系(Teutonic/ゲルマン系Germanicの一派)から派生した言語である。ただし、高地地方からヘブリデイズ諸島にかけてはケルト語系の「ゲール語(Scottish Gaelic)」も使われている。
一方、アイルランドでは、1922年の独立以降、「アイルランド語(Irish)」が第一公用語として定められた(1959年には「標準アイルランド語」が設けられた)が、多くの人が「英語」を日常語として使用。”ゲールタハト(Gaeltacht)”と呼ばれる「ゲール語(Gaelic)」の残る地域は、その存続のため政府による特別な保護育成の対象とされている。

Tradition 伝承
ドルイド(予言者)と同様に、古代ケルトにおいて高い地位とされていた、バルド(吟遊詩人)と呼ばれる人たちがいた。彼らは詩と音楽の専門家で主な仕事は、主君の偉業を数え上げて事細かに誉め讃えること。それは周りで聞いている部族の者の士気を上げるのに役立った。また、そこでは一族の歴史と系図も朗誦されたという。アーサー王伝説に登場するマーリンも吟遊詩人と呼ばれることがある。
こうして語り継がれた部族や王家の年代記から、口承文芸が生まれ育ち、神々や英雄、獣、自然などを讃える伝説が生まれた。そして、これらの物語はキリスト教(ラテン文字)の導入により、修道士の手を経てようやく書物として後世に残されることになった。
ケルトの時代が過ぎ去った後も、吟遊詩人の伝統は残っていて、1176年には大司法官であったリースという人物が、歌や詩の技を競い合う会を組織してから中世の時代にもそうしたコンテストが催されていた。その後、1789年にそれが復活して定期的に行われるようになり、1880年の「アイステッドファッド(毎年8月初旬にウェールズで開催される、ウェールズ語による音楽・演劇・吟唱詩の大会)」の創立によって、新たに勢いを盛り返した。

また、最初の語り部(詩人)といわれるフィリ(fili/複数形はフィラ)と呼ばれる人々が、キリスト教の宣教師がアイルランドにやってくる以前のケルトの神話や伝承物語を記憶して、太古の物語を守り続けていた。つらくて長い訓練をへて一人前になる彼らのレパートリーは膨大であった。例えば、ある初期の写本には、フォルガルという名のフィリが六世紀のアルスターの王であったモリガンのために、サワーン(11月1日のドルイド教の収穫祭)からベルテーン祭(5月1日)にいたるまで、夜毎に異なった物語を語って聞かせたと述べられている。あるいは「レンスターの書」に記載されている、一人のフィリが知っていなければならない物語のリストでも確認できる。そこには主要な物語として約250話、さらに副次的な物語100話が列挙させているという。

Letter 文字
古代ケルトの人々は、碑文などの言記表記をする際には「オガム文字(Ogham/南アイルランドで考えられたとされる表記方法で、ラテン・アルファベットの音を基準にして縦横の直線の長短と斜線の数で表現する)」や「レポント文字(アルファベットから派生)」などの文字を使用した。これらが記されたA.D.300〜500年頃の木や石がイギリス諸島の各地で発見されているが、それ以前にも使われていたとも考えられている。オガム文字には魔力があると信じられていたようで、ケルトのドルイド僧も占いの際に用いた。このオガムという名称は雄弁の神オグマにちなんで名付けられたものである。そして、A.D.600年以降になると次第に”ラテン・アルファベット表記”を用いるようになる。
一方、ピクト人は独自の文字(一種の絵文字)をもっており、そこには動物や奇妙な合成獣、櫛や鏡といった家財道具、V字型の棒などの抽象的な形などが使われている。彼らは石版に絵文字を刻んで墓碑や国の境界に置いていた。キリスト教改宗以降になると、ピクト人は石版に浮き彫りの十字を加えて背後に絵文字を描いたのだが、これらの絵文字と福音書の彩飾写本に見られる装飾との間には、様式的なつながりがあることが証明されている。

関連書籍
「ゲール語四週間」カハル・O・ガルホール・三橋敦子共著/大学書林1983
「ことばのロマンス〜英語の語源」アーネスト・ウィークリー著/寺澤芳雄・出淵博共訳/岩波文庫

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